辨 |
ウツボグサ属 Prunella(夏枯草 xiàkūcăo 屬)には、北半球の温帯を中心に7-8種がある。
タイリンウツボグサ P. grandiflora(大花夏枯草)
P. laciniata(裂葉夏枯草)
タテヤマウツボグサ P. prunelliformis(假夏枯草)
P. vulgaris
ウツボグサ subsp. asiatica(var.lilacina, P.asiatica;夏枯草・山菠菜)
ミヤマウツボグサ var. aleutica(P.japonica)
北海道・本州中部以北・極東ロシア・アリューシャン・アラスカ産
ナンコウツボグサ var. nanhutashanensis(f.taiwanalpina)
タイワンウツボグサ var. taiwaniana
subsp. hispida(P.hispida;剛毛夏枯草・硬毛夏枯草)
雲南・西藏・インド産 『中国本草図録』Ⅴ/2294
セイヨウウツボグサ subsp. vulgaris(歐夏枯草・夏枯草) 『中国本草図録』Ⅵ/2812
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シソ科 Lamiaceae(脣形 chúnxíng 科)については、シソ科を見よ。 |
訓 |
「和名ハ其花穗、弓矢ヲ容ルル靭ニ似ルヨリ名ケタルナリ」(『牧野日本植物図鑑』)。
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漢名夏枯草は、夏になると 花穂が黒く枯れることから。
菠菜は、ホウレンソウ。 |
『本草和名』夏枯草に、「和名宇留比」と。
『倭名類聚抄』夏枯草に、「和名宇流木」と。
『大和本草』夏枯草に、「似二空穂草一而長、ウツホ草ニハ非ス、ウツホ草ハ用テ功ナシト云」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』に、「夏枯草 ウルキ」「ウツボグサハ一名スイスイバナ江州 スイスイ同上 スイバナ佐州 スモトリ濃州 ウシボクト長崎 ヒグラシ豫州 シビトバナ和州 シビトノマクラ 狐ノマクラ倶ニ同上 ウバチコ奥州 ウバノチ同上 トリゲグサ ヤリバナ マツカサグサ雲州」と。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・臺灣・華東・山東・山西・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシアに分布。 |
誌 |
中国では、セイヨウウツボグサ・ウツボグサなどの枯れて黒くなった花穂・全草を夏枯草(カコソウ, xiàkūcăo)・夏枯球・夏枯花と呼び、薬用にする(〇印は正品)。『中薬志Ⅲ』pp.354-357 『全国中草葯匯編』上/675-676 『(修訂) 中葯志』V/289-294
〇セイヨウウツボグサ Prunella vulgaris(歐夏枯草・夏枯草)
ウツボグサ Prunella vulgaris subsp. asiatica(長冠夏枯草・山菠菜)
Prunella vulgaris subsp. hispida(P.hispida;剛毛夏枯草・硬毛夏枯草)
キランソウ Ajuga decumbens(金瘡小草)
ジュウニヒトエ A. nipponensis(紫背金盤・散瘀草・白毛筋骨草)
日本では、生薬カゴソウは ウツボグサの花穂である(第十八改正日本薬局方)。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 夏之部」に、「うつぼ草 初。花、むらさき」と。 |